愛と憎しみのテイラートカゲモドキ 2015年12月11日 その他ヤモリ コメント:0

 Hemitheconyx taylori

Hemitheconyx taylori

8月に一方的に投げつけられたテイラートカゲモドキが、おおよそ4カ月のアシスト給餌の果てに、ついに今日、今さっき自力で摂食した。
恐らく、自分史上これほど手古摺らされたヤモリというのはいなかったであろう。大体駄目な奴は4カ月ももたないで死ぬしな。

よく考えてみて欲しい、この小さなヤモリの更に小さな口に、週3回デリカップのヘリを突っ込んでこじ開け、そこに頭と手足をもいだイエコを突っ込んでを今日自力で食うまでを4カ月繰り返したのである。当然何の保証も確約も無い。もしこれが自腹を切って買ったヤモリであれば恐らく発狂は免れまい。もしかすると己の浅ましさとテイラーが食わないのを呪って虎に変じて森に潜み、行きかう人々を襲っていたのかもしれぬ。
この4カ月の中でオバケやマモノミカドが産まれ、そして順調に生育してゆくのを横目で見ながらこのヤモリに延々と元コオロギを挿していった我が心中たるや察するに余りある。あっちは生後数日でもうフタホシにかぶり付いているのに、このソマリアの即身仏は一体どうしたことだ。口をこじ開け、喉元まで突っ込めば惰性で呑み込んでゆく癖に、目の前を行き交うコオロギには目をくれず、口元に付けられた体液は擦り落とし、週三度の強制給餌を4カ月受け続けたのである。どうすればこのような悪しきカルマに満ち満ちた生を受けねばならぬのか。そして私自身何でこんな目に合わねばならんのか。実際、3か月あたりから餌を挿す度に憎しみが募っていったのは事実であるのを告白しておかなければならない。しかしここで殺してはテイラーにも殖やした御大にも示しが付かぬし、なにより私の世間体が悪い。

いやしくもヤモリマニアの末席に連なる身から言わせてもらえば、テイラートカゲモドキと言えば2000年代までは本当にUMAだったのである。鮮明なカラー写真すらろくに存在しなかったアフリカ産のヤモリ、いや爬虫類の最高峰であった。そんなもんに手を出せるということがまず何よりも畏れ多く、そしてあり難い話であるのに、実際に手にして待っていたのは何かこう前世の罪業を贖うための苦行的な何かであった。
どうやって今日、自力で食うまで至ったのかをここに記すのは控える。何故かと言うと、不幸にもこのヤモリに魅入られてあえて修羅の道を行く気の毒な人のためになっては決してならないからだ。このヤモリを手にしたからには食わないでやきもきしてほしい。口をやっと広げてコオロギ突っ込んだと思ったらその場で吐き出されて怒り心頭してほしい。挿すのは上手くなっても一向に喰わないで、もしかすると一生このままなのでは、と漠然とした不安の中でこのヤモリを嫌いになってほしい。食わないと間違いなく死ぬんだから死ぬほど焦ってほしい。でも良いんだそれで。
あんたのとこのテイラーは食わないでも、うちのテイラーは食うんだから。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する